純ポリウレアと半ポリウレア (2)

中国を襲った令和元年台風9号で見る「純ポリウレアと半ポリウレアの性能の相違」
出典:2019-09-09  http://polyurea.cn/News/20192019nian/2019-09-09/396.html

  令和元年台風9号(台風レキマー)→ クリック

台風レキマーと言えば、その破壊力たるや、今なお人々が身震いする程であった。近年青島を通過した台風はいずれも青島理工大学のポリウレア屋外劣化試験場に一定の破壊と損失を与えてきたが、まずは今年の台風レキマーの青島への上陸にあたって黄微波教授がチームを率いて行った緊急対応策及び災害後の復旧作業を見ていこう。

【1】8月10日の夜には台風レキマーは既に青島外海に到達しており、市内の風力は8レベルにまで増加していた。黄教授は研究所の学生達を組織し、全ての屋外劣化試験台を地面に倒し、台風により破壊されることを防止した。また海水試験プール、淡水試験プールについては水位を最低にし、屋外劣化試験場の対外接待業務を全て停止した。

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【2】8月11日の午前、黄教授は雨の中、大学屋上の屋外劣化試験場へと急ぎ、馬明亮先生、張鋭博士達と共に、折れたり、曲がってしまった台の数を統計し、台風通過後の損害状況を調べ、後方勤務部署に修理や補強などの指示を出した。

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【3】8月12日から16日にかけては風雨が続き、溶接作業をすることは不可能だった。8月17日から20日には天気は快晴に向かったため屋上に溜まった水の排水や、修理や補強作業を展開した。

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【4】8月20日には溶接、補強作業が完了し、黄教授は生徒達に指示して全ての試験台を安置し直し、屋外劣化試験場の対外業務を正式に開放した。

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【5】8月21日には鉱山での輸送を行う顧客とパイプの防腐を行う顧客とを続けて2組受け入れた。

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聞くところによると、青島理工大学の屋外劣化試験場はポリウレアの劣化現象を研究する試験場の中でも世界最大のものであり、黄微波教授はポリウレアの劣化減少研究の第一人者であるという。彼は数十年を一日の如く、ひたすらスプレーポリウレアという領域を懸命に耕し黙々と貢献し、中国のスプレーポリウレア事業に一生をかけ心血を注ぎ、我が国の最先端スプレーポリウレア材料の研究開発に最も基礎的な科学的基盤を提供してきた。その功績はまさに「中国ポリウレアの父」という栄誉に恥じないものである。

また科学研究を展開し、データを蓄積するだけでなく、青島理工大学の屋外劣化試験場はスプレーポリウレアに関する知識を広め純ポリウレアと半ポリウレアを識別する、科学知識普及のための場所にもなっている。上は将軍、下は労働者まで、毎年数百名の国内外からの訪問者を受け入れる、スプレーポリウレアの知識を伝道するための重要な陣地なのである。

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長く、純ポリウレアと半ポリウレアを巡る論争は中国スプレーポリウレア界に満ちていた。結合エネルギーや分子構造などの方面からの化学分析も十分純ポリウレアが半ポリウレアより優れているということを証明しているにも関わらず、未だに一部の人間が「純ポリウレアよりも半ポリウレアのほうが中国国内の状況には適している」などのデマを吹聴している。

2009年、某高速鉄道防護プロジェクトにて大量の半ポリウレアが現れてからというもの、黄教授は長期の屋外劣化試験や人工加速劣化試験を行うことで、純ポリウレアと半ポリウレアの劣化規則を明らかにし、純ポリウレアの優位性(純ポリウレアでなければポリウレアに求められる性能を発揮できない)を証明しようと決心した。

青島理工大学の実験棟にはエレベーターが無いため、彼は自ら学生達を率いて1000個にも上るコンクリートブロックを5階の屋上にまで運んだ。その総重量は5000kgを超えていた。またスプレーポリウレア材料を設置するのに適したステンレス製の台を設計、製作し、大量の純ポリウレア、半ポリウレアのサンプルをスプレーした。十年近い観察、テスト、研究、証明の結果、まず純ポリウレアは元データの85%の力学的性能を保持し続けていること、そして半ポリウレアの力学的性能は初めの2、3年しかもたずその後急速に劣化し早々にゴミと化すことが分かった。

特に、今回の台風レキマーのような暴風雨の後では、訪問者は非常に直感的に実情を理解することができる。一つ目は、純ポリウレアが依然として強靭で、力強いことであり、二つ目は半ポリウレアが既に徹底的に破壊されており、ろくな強度を持っていないことである。

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先日、青島理工大学の屋外劣化試験場を見学した上海順締新材料有限公司(米国SWD Urethan社の中国合弁会社)董事長の王道前氏は見学後、その感想を語ってくれた。まず一つ目には黄博士の堅忍不抜かつ何事もおろそかにしない厳密な科学研究の精神、そして二つ目には、純ポリウレアと半ポリウレアの耐劣化性能には雲泥の差があるということ。三つ目は黄教授の指導をかたく守り、純ポリウレア材料の応用を全力で広めて行きたいということ、そして最後に、四つ目は、2020年発刊(予定)の黄教授による新版「スプレーポリウレア弾性体技術」の出版に期待しているとのことだった。

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